――ドク、ドク、ドク。



心臓が飛び出そうっていうのは、こういうことを言うの?



屋上までの階段をのぼりながら、あたしはかなりビビっていた。



使われていない屋上への階段は、薄暗くて埃っぽい。



こんなところにひとりで来なきゃよかった。



ビクビクしながら、なんども後ろを振り返る。



人気もないし、ミキオくんの姿も見えない。









どうか…無事に帰れますように。



呼びだされている時点で、無事で帰れる確証なんてない。



それでも、あたしは願うしかなかった。



初対面のミキオくんは、とてもそんな狂暴な人には見えなくて。



しらを切りとおせば納得してくれる…なんて、簡単に考えていた。