呟いた私の頭を冬馬兄ちゃんは撫でて、また笑う。 「良い人見つけて」 そんな言葉、聞きたくない。 だから私は黙ったままそこに居た。 「帰る?」 そう問われて、首を横に振った。 一緒に居たい。 大好きな人の傍に居たい。 ただそれだけだ。 「ごめんな、傍に居てやれなくて」 優しいキス。 きっと最後の口付け。 「仕事、頑張ってね」 なんとか笑顔を作り、声をかけた。