「理沙さん。何やってるんすか」

一番若そうな男の子が、キッチンカウンター越しに声を掛けてきた。

「あ、洗い物を……」

「そんなの俺がやります。主役は座ってて下さいよ」

「は、はい……」

仕方なく蛇口の水を止め、泣きそうになりながらリビングへ行った。 

「タケルさんにはホント世話になりました。売上ヤバい時とか、金払いのいい客回してもらって」

一番最初に薔薇の花束をくれた男の人が、タケルに頭を下げた。

「それでもナンバーワンってのが、コイツの憎たらしいところだった」

そう言って、先輩らしきホストが笑った。

「タケルさんのバースデーイベントなんて、客が店に入りきれないからって、ホール借り切りましたよね」

皆が口々にタケルの武勇伝を語る。