タケルは何も言わず、私の腕を掴んで来た道を引き返し始めた。

彼が追い掛けて来てくれたことは嬉しい。

けど、言い訳もしてくれない。

『私が変に思ったままで、平気なの?』

『私のこと、どう思ってる?』

聞いたところで、素直に本心を教えてくれるような人じゃない。 

ウザイ女だと思われるのがオチだ。

―――赤ちゃんが出来ても、結婚しても、一緒に暮らしてても、タケルに手が届かない……。