あ。

可奈子がぼやっとソファに座っている。

とりあえず、目の前の後輩で憂さ晴らしをすることにした。

あたしは可奈子に自分の部屋のルームキーを差し出した。

「あんたもチェックアウト手伝って来なさいよ。訓練生の分際でボーッと座ってるなんて信じられない」

「ふぁーい……」

しぶしぶ立ち上がった可奈子が、ちらっと奥のソファを見た。

パイロットの制服に身を包み、男前が三割アップしている大島。

いつになくナチュラルメイクの赤木。

二人は楽しげに笑いあっている。

「自分から身を引いたとは言え、ああいうの見ると、やっぱり寂しいです」

つぶやくように言って、可奈子がフロントへ歩いて行った。