それから数か月後。

琴美はそれ以降、何も思い出すことはなかった。

…ただ、事件の記憶だけが、時々思い出されるようで、

突然悲鳴を上げたり、泣き出したりと、情緒不安定な日々が続いていた。


それでも、オレを始め、琴美の両親、結、

周りの人たちの支えで、琴美は何とか生活をしていた。


臨月を迎え、オレや結の立会いの下、

元気な男の子が生まれた。

・・・その男の子の名前は、


『勇気』


すべての事に、立ち向かっていける強い心を持ってほしかったから、

そう名付けた。


0,1,2,3,4,5・・・

月日はどんどん流れていく。


子供たちも、スクスクと成長していく。


オレは、あれ以来、駐在所勤務を続けている。