「……私、帰る」
なおは立ち上がって玄関へと歩いていく。
「待てよ! 話は終わってねーよ!」
「……少し考えさせて」
振り向きもせずに低いトーンで言う彼女の言葉にドキッとする。
「考えるって何を……?」
「今後のこと」
思わずなおの手を握って引き止める。
「……それ、別れるかどうかを考えたいって意味?」
「……うん」
目の前が……真っ暗になるくらいの衝撃に固まる俺。
「……嫌いになった?」
俺の問いかけに首を横にふるなお。
「でもさ、なんか感覚が違う。ツッチーはやきもち妬いてくれる彼女がよくて、私は妬かないで信用してくれる彼氏がいい……」
最後のほうは声が震えていて、泣いているのは分かっていたけど引き止められなかった。
だってなおの言ってることは間違ってないから。


