とりあえずなおの職場までやって来た。
「……誰もいねーし!」
真っ暗な店内。
どうする?
携帯を取り出して、もう一度電話をかけようとした瞬間に鳴り響く携帯。
ディスプレイに表示されたのはなおの番号。
「もしもし!?」
『今から車で、なおの家まで送るから。ただの風邪みたいだから安心していいよ?』
いやいやいや……
お前はなおの彼氏かっ!!
「俺が迎えに行くから! 場所どこ?」
『……車、あるの?』
な……ない。
『とにかく早くゆっくり寝かせてあげたいから俺が送るから。じゃ……』
そう言ってまた切られた電話。
ポツンと一人、道の真ん中でたたずむ俺。
なおが風邪で、たいしたことがないなら安心した。
だけど馴れ馴れしいあの男は何だよ!!
尋常じゃないほど挑発した口調。そして彼氏の俺ばりになおへの配慮、気配り。
男の勘。
きっとなおに好意を持っているんだ。


