目が覚めた時、なおは俺の隣で寝ていた。
うわーうわー!!かわいい寝顔……初めて見た。
無意識に俺に寄り添って、ギュッっと腕を掴んだまま寝ているなお。
「かわいい……」
思わず口に出した瞬間、眠り姫が目覚める。
「……ん。体はどう? よくなった?」
「うん! かなりスッキリ!! ありがとう」
なおは微笑んでガバッとベッドから起き上がる。
「6時か……始発のバスで一度帰るね」
「え? ここから直接、仕事に行けばいいじゃん!」
「私が2日も同じ服を着て出勤なんてあり得ない」
なるほどね。オシャレなおさんにはプライドがあるらしい。
「俺の服、着て行けば?」
「ばか! いかにも男の家から出勤なんて見苦しいでしょ!?」
そうかな?ま、なおにはなおのやり方があるしな。
でも俺のブカブカの服を着てるなおは
「すっげーエロい!! 誘ってんの?」
「ハイハイ! このまま服借りるね! じゃ、帰るわ」
あれ?いつもならもっと毒吐くのにな。
「なお……マジでありがとう。俺、なおが彼女で幸せ……」
玄関先でギュッと抱擁。
「うん……じゃ、またね!」
……………………。
うーん……
何だかいつもと雰囲気が違うな。
俺はバカだからなおの体の異変に気付いてあげられなかった。
これが後々考えれば今回の修羅場の始まり。


