振り上げられた彼女の手は……俺の体を包み込む。
なおから初めて抱き付かれた……。
「来るのが遅いんだよ。バカ……」
う……そ……。待っててくれた?俺を……?
「なお……俺、未練なんてないよ?」
ギュッと姫の体を抱き締める。今日はベッドの上じゃなくても姫に変身なんだ。
かわいすぎるんだよ。
「俺には、なおしかいねーよ。俺のそばから離れんな……」
「……うん」
いつもと雰囲気の違うなお。こんな道の真ん中で涙を流して、抱き付くなんて考えられないのに……
そんな彼女が
かわいくて、かわいくて
抱き寄せた体を離さないで歩きだす。
姫をお迎えにあがった俺は王子様?
情けない王子だけどいつかふさわしい男になるからさ……
「なおちゃん、お城に着きましたよ」
「あんたの家じゃん!」
バカだな。今から俺たちのお城になるのに……
玄関の扉を閉めた瞬間。たまりまくっていた感情をぶつけるように
なおに熱く激しくキスを繰り返す。
「ちょ……! 待って……」
「待てねーよ……」


