待つこと数分後。階段から降りてくるなお。俺の顔を見た瞬間……
フイッと目をそらす。
うっ……怒ってるよ。不機嫌なお姫様どころじゃない。
「なお……」
「あんたなんか知らない。どちら様?」
そう言ってスタスタ歩いていく彼女。
誰だって?
どちら様?
ふざけんな。
「お前の彼氏だよ! なおしか考えられなくて、連絡とれない間は寝れなくて、お前を失うのが怖い情けない彼氏だよ! 悪いかよ!?」
……て、何を逆ギレしてるんだよ?俺は!!
もう少し優しい言い方できないのかよ。
マジで重症……情けない。
自分のバカさ加減にへこんでいると、なおの足が止まる。
振り向いた表情は……怒ってる?
カツカツとヒールの音を立てて、真っ直ぐ俺に向かって来る。
何?またビンタ?それとも完璧に別れを宣告されちゃう?
緊張がピークに達した次の瞬間……


