「何、あの女? すごい口悪いじゃん!」
さゆりの言葉にマジでキレた……
「確かにあいつは口悪いし、すぐにどつくけど……」
あいつは俺の……
「お前みたいに軽くない! 寂しいからって……他に男なんかつくらねーよ!!」
大切な女。
やっと出会えた姫。
さゆりの手を振り払って、なおを追い掛ける。
足の早いなお。完全に見失った。
右に行ったか左に行ったかさえも分からない。
「もぉ! どっちだよ!?」
慌てて携帯に電話をかける。数コールしたらブチッとキレる携帯。
何度も何度も同じ繰り返し。そのうち電源を切られてしまった。
「マジかよ……?」
カラオケボックスに戻って、あみちゃんになおの家を教えてもらう。
「土屋くん! なおの家に行くなら日を改めたほうがいいよ。こんな時間に押し掛けちゃ親がいるし、印象悪くなるよ?」
あ……そうか。あみちゃんに言われて初めて気付いた。冷静さを完全に失ってる俺。
「……携帯の電源きってるから家に電話してくれない? なおがきちんと家に帰り着いたか心配だから」
あみちゃんに家に電話してもらってから間もなく……帰り着いたとのメールが届く。
俺の携帯じゃなくて、あみちゃんの携帯に。


