今にも雨が降りだしそうな天気の中……
俺はなおの職場の前でなおを待っていた。
業務終了時間に階段から降りてくるなお。
俺の顔を見るなり一気に顔がくもる。
そんな顔みたくねーよ。
傷つくじゃん……
「番号……変えるなよ。俺、ストーカーみたいじゃん」
「ツッチー……もうここには来ないで」
なおは俺と目も合わさないで元気のない声で言葉を発する。
「なお、亮って奴に会ってきたよ」
「え?」
「胃薬だと思って渡した薬は安定剤だったって。酒と併用すると眠気が強く出る薬らしい」
「……安定剤?」
「だから記憶がないのはお前のせいじゃないんだよ? 亮もなおには手を出してないって誓うって言ってた」
なおは一点を見つめて何かを考えている表情。
「目が覚めた時、服は着てた?」
コクンと頷くなお。
それを知って心からホッとした。


