「……確かにホテルに連れ込んだ時までは下心はあったよ。でもなおがずっと彼氏の名前を呼ぶから」
「は?」
「“ツッチー……手繋いで”って」
なおは……こいつを俺だと思っていた?
「その言葉で我にかえった。なおに彼氏ができたのは聞いていたし。俺はなんてとんでもないことをしているんだって気付いて」
「本当に手は出してないんだな?」
「苦しそうだったから、上着のボタンをふたつ外してあげたけど、それ以上は絶対に体には触れていない。誓うよ」
こいつの言っていることには真実味はある。
とりあえず未遂でホッとした。
「なおは友達を大切にする女だ。裏切られてショックを受けてるからもう二度と近づくな」
「……うん。ごめん」
なんだか気持ちはスッキリしなかったけど……
俺はそのまま亮のアパートを後にした。


