「違うよ! 本当に間違えたんだよ。責任を感じて、俺がなおをタクシーで実家まで送るって言ってみんなより先に帰ったんだ」
「なんで実家に連れて帰らなかったんだよ?」
亮は俯いたまま唇をかみしめた。
「なかなかタクシーがつかまらなくて、なおを抱きかかえたままで。俺も酒入ってたし……つい。目の前にあったラブホに……」
その言葉にずっと我慢していた俺の怒りが一気に爆発した。
気が付いたら立ち上がって、亮の頬に俺の拳がクリーンヒットしていた。
「ふざけんなっ!! 記憶のないなおをホテルに連れ込むなんて……大切な友達だろ!?」
亮は殴られた頬を右手で押さえて、下を向いて……口を開いた。


