サイコーに不機嫌なお姫様。




散らかった部屋。空いたスペースに俺はあぐらをかいて座った。



「……で? なおに何をしたんだよ?」



亮は机をはさんで俺の目の前に座ってため息をつく。



「最初に言っておく。なおには手を出していない」



俺の威圧的な態度にビビって嘘をついてる?



「昨夜、乾杯の前になおが最近胃がもたれるって言うから胃薬をあげたんだよ」



胃薬?



「でも酒が強いはずのなおがすぐに酔い潰れて……その時に初めて気付いた。なおに渡した薬は胃薬じゃなくて安定剤だったんだ」



「は……? 安定剤?」


「間違って渡してしまったんだ。俺、不眠症で安定剤を服用していて……アルコールと併用すると作用が強まる薬なんだ」



だからなおは酔い潰れて記憶も飛んだ?



「それで? なんでなおをラブホに連れ込むんだよ? まさかわざと安定剤飲ませたんじゃねーだろうな?」



やべ……キレそうだ。俺は必死で怒りを抑えていた。