「ああ! なおちゃんだ! まじ? 直哉の彼女ってなおちゃん!?」
「偶然ですね! 私もビックリ」
兄貴となおは二人だけ盛り上がって、俺とお袋と親父の三人はポカンとしている。
「なお、兄貴と知り合いなの?」
「うん! うちの美容院のお客さん! 瀬名さんが担当してるから私がアシスタントで入ってるからよく話してたんだ」
へー。世間は狭い。
「え……じゃ、あなたが和也に仕事をしろって背中を押してくれた美容師さん?」
お袋がビックリした表情で聞いてくる。何それ?そんな話、俺は聞いてない。
「そうだよん♪ 店に行くたびになおちゃんから仕事は決まったのかとか遊んでないで親に心配かけるなって怒られてたんだから!」
「へ? だから最近、仕事始めたの?」
「まーね。俺にも大切な彼女がいるから。その子のためにも頑張れって言われたら……ね?」
「そっか。仕事見つけたんですね! よかった……」
これはこれは思いもよらない展開で……
お袋のなおに対しての対応が……
………180度変わった。


