サイコーに不機嫌なお姫様。




整備されてるっていってもかなりぬかるんだ道。


しかも真っ暗。


霧のせいで懐中電灯の光は1メートル先さえも見えなくてなかなか前に進めない俺。



「なおー!!」



いたら返事してくれないかな?



名前を呼び続けていると最悪なことに……



ピカッと一瞬辺りが明るくなったと思ったら空を裂くような轟音。



「わわわ! 雷だ!!」



雷って木に落ちることが多いんだよな?



まさしく山に入ってる俺はその木に囲まれた状態。



もうっ!俺、雷キライなのにぃ!!



続けてピカッとまた空が光った瞬間……



少し先に耳を両手でふさいで座り込んでいる女の子の姿が目に入る。



「なお!!」


「きゃっ!!」



俺の呼ぶ声とともに鳴り響く雷の音になおはビクッと体を震わせて俺を見る。



「ツ……ツッチー?」



雨に濡れて髪から雫がポタポタとこぼれ落ちて瞳からは涙が溢れていた。



「よかった……」



なおに駆け寄って思わず抱き締める。



こんな暗いところに一人……怖かっただろ?



「ごめん……心配かけて」



震える手でなおも俺にしがみついてきて



やっと安心できた瞬間だった。