爪先、ドレスの裾、足、腕、そして顔がだんだんとスポットライトの光で明らかになっていく。


……えっ。




「我は、紫姫。この世界に君臨し、変化をもたらす者」




凛とした声を発した彼女はスラッとした体型で、黒い長い髪をしており瞳ははっきりと紫だとわかる。



しかし、しかし……


その顔は、どことなくわたしに似ていた。大人びたわたしの顔。




周りの人達は騒ぐことなく、じっと紫姫を見ている。わたしも、彼女から目を離せなかった。





「我の先祖には言い伝えがある。あなた方が知っているとおり、それは紫姫について、そして、空に浮かぶ島についてだ。
我ら紫(ゆかり)族はその島で暮らしている」



……紫族。紫姫が産まれし一族。

言い伝えどおり、島は存在するようだ。しかもまだそこに住んでいると言う。




「我らは太古の昔に力を持って産まれた最初の人間の末裔。我らに伝わる話を我は伝えたい。あなた方に知ってほしい」



彼女は視線を巡らした。そして、ある一点で少し止まった。



……その一点とは、わたし。



彼女とわたしの視線はかち合った。その瞳からは何も伝わって来なかったけれど、やはり正体がバレているんだと改めて実感した。



彼女はおもむろに話し出した。