「……まったく、世話がかかる」

「でも、起こせないよねー。こんなに気持ち良さそうに寝てるからさ。男の前でこんなに寝てて、不用心だね」

「手を出さない方が賢明だと思うが」

「……だよね。どんな能力があるかわからないからね」

「ああ。俺も見たことがない」

「攻撃系か守備系か、はたまた回復系か、それとも何もないのか……」



わたしはそんな会話とともに、何か柔らかいところに下ろされた。

まだ眠い……


「ねえ、本当にこの部屋を使わせるの?じじぃども黙っちゃいないよ?」

「俺が黙らせる」

「……それはそれで問題があると思うんだけど」

「今はここだ。危険人物だと断定でき次第、部屋は移させる」

「ところでさ、そろそろ教えてくれない?」



低い声が子守唄のようにわたしの耳に届き、さらに深い眠りへと誘う。



「どうして救ってあげたの?」

「……俺にもわからない」

「それは答えになってない。ちゃんと答えてよ」

「……」

「お得意のだんまり?答えによっては僕は手助けしてあげたいんだけど」

「……部屋を移す」

「え、そんなに秘密事項なの?……あ、ちょっと待ってよ」



わたしはその後、また深い眠りへと落ちていった─────