ラセスさんはため息を吐いた後、こっちに来てドサッと座り、こめかみを指で押さえた。



「何かわかりましたか?」

「……ああ。だが、聞かない方がいいと思うぞ」

「どうしてですか?聞くなと言われたら聞きたくなるのが人間ですよ」

「……確かさっきも言っていたなそれ。あの門を開ける前にも似たようなことを」

「あははは……すみません」

「で、どうだったんだ?俺も気になる」

「僕も気になるな」

「……絶対に後悔するなよ」



わたしたち三人はごくりと唾を飲んでその先を待った。



「すべてを正確に読めているかはわからないが、大体はわかった。ひとつは、やはりあれの向こうには封印があるということ」

「やはりな……」



ケヴィさんが呟くけれど、ラセスさんはそれどころではない様子。

心なしか暗い顔をしている。



「もうひとつは……あの門を開けるには、鍵が必要だということだ」

「鍵、ですか?鍵穴なんてありませんよね」

「そう言った物理的なものではないんだ……」

「じゃあ、なんなんだ?」



ケヴィさんはラセスさんが焦らすから、少しイラついているようだ。

アルさんは黙って聞いている。



「その鍵は、人の魂。すなわち、誰かが死ななければ、あの門は開かない」

「なん……だと……?だからあいつらは俺たちを殺そうとしたのか?」

「まあ、俺には関係ないがな」

「どういう意味だ?」

「……その鍵となる人には、ひとつ条件がある」

「条件?」

「それは、ある刻印を持った者の魂だ。なんの刻印なのかは俺には解読できなかった。星形の何かと彫られていたが……少なくとも俺にはないからそう言った」

「ま、まさか……そんな……」

「じゃあ、カイルは……」

「どうしたんだ?」



ラセスさん以外にはその刻印がなんなのか、察しがついていた。逆に、わかってしまって後悔しているぐらいだ。



「その刻印とは、龍の刻印と呼ばれている。それはケルビン王家にしかない。それは、これのことだ……」



ケヴィさんはラセスさんにあの星形のほくろを見せた。



「これのことか……いや、待てよ。では、カイル殿にも……」

「ある。俺が生き残っている時点で答えはひとつしかない……カイルは、確実に殺される」

「なんだと?では……なかなか出てこないのは……」

「死闘を繰り広げているに違いない……」



だから俺は殺されてもおかしくなかったのか……試練突破の説明もなかったしな……とケヴィさんは呟いたけれど、正直どうでもよかった。



カイルさんが……殺される……しかも、確定して……



わたしたちは固まったまま青いドア見つめ、その事実に動けないでいた。