序章 わたしは1年に1度、同じ夢を見る。 見た後は忘れてしまうけれど、なぜだか心は満たされていて、ああ、またあの夢を見たんだな、と自覚する。 そして、決まってその夢を見るのは、わたしの 誕生日の夜。7月23日の夜。 ちょうど、星座がかに座からしし座に切り替わる日。 7月のカラ ーは赤だけれど、わたしは青が好きだ。海の青 。空の青。 そして、あの人の────