そしてソファへと向き直った瞬間、覆面の男と目が合って私の体は硬直した。


反応できない。


寝起きで、甘い夢を見ていた私は完全に油断していたのだ。


この男が、いったいいつここへ入ってきたのかもわからなかった。


「きっ……!」


悲鳴を上げるその瞬間、男は持っていた布を私の口と鼻へ押し当てた。


少し湿ったそれは甘い香りがして、私はすぐに意識を手放した……。