ちょうどその時、加藤の住むアパートの前を通りかかったのが、茶髪にロン毛。いわゆるチャラ男の伊藤堅剛である。



朝までオールで、今は自宅に向かって歩いているところだった。



「ん?」


堅剛は植え込みの中に転がっている携帯電話を見つけた。



(誰のだろう?)


ディスプレイには、数年前に流行ったバンド。



(懐かしいなぁ、コイツら今どこにいるんだ?)


堅剛はそんなことを思いながら、まず持ち主のメールをチェックした。