フライパンがジュワーっと音を上げる。


そのタイミングで、リビングのソファの上においてある、瑞江のカバンの中の誰かの携帯電話が、二度目の着信音を鳴らしたけれど、二人はその音に気がつかなかった。



そそくさと食事を終わらせると、二人は喪服に着替えて家を出る。



エレベーターを降りて、エントランスから外に出た三分後。



またエレベーターの監視カメラに、あの薄い影が一階から乗り込んで、七階で降りるまでが記録された。