そのジュースには切ったオレンジの絵が描かれている。 恐る恐る両手で受け取り、まじまじと見つめた。 こ、これは... 10円、払ってくれたってことだよね お礼..言わなきゃ...! 「あ、あの、ありがっ...」 顔をガバッと上げて、そう言いかけた時にはもう、彼は電車に乗り込んでいた 「行っちゃった...」 その背中はすごく大きくて、声をかけられずに見とれてしまった お礼、言えなかった...