素直にうなづくあたしに、セバスチャンさんは綺麗な目で笑いかけてくれた。


セバスチャンさんの言葉を聞いていたら、なんだか気が楽になった。


ほんとに大丈夫かもって気がしてくる。


すごいよなぁセバスチャンさんて。


これがこの人の持つ力で、魅力なんだろうな。


うん、そうだ。セバスチャンさんの言う通り。


今はとにかくこのまま、おとなしく身を潜めていよう。


人の噂も七十五日だ。

七十六日目になれば、みんな態度をコロッと変えるかもしれないし!


・・・さすがにその可能性はちょっと低いけど。


「小娘よ、しばらくしたらまた現世へ戻っておれ。そのうち事態も落ち着くでな」


「うん、そうするよ」


「永久もこれを見越して、お前を現世との橋渡し役にしたのじゃから」


「え?」


「永久も上層部からうるさく言われておるようじゃが、のらくらとかわしておる。お前も辛抱せい」


門川君が・・・。


彼があたしを橋渡し役にしたのは、こうなる事を見越していた?


あたしを周囲から守る為に?


胸がきゅうっと切なくなった。


ほんと、彼ってば、なんにも言わないんだもんなぁ。


あたしが傷付くんじゃないかと、心配したんだろうなぁ。


門川君が、他人を思いやる時ほどに態度がつっけんどんになるのは、相変わらず。


自分の本当の思いや優しさを、素直に表現することができない。


分厚い氷の奥に真心を隠しながら、素知らぬ振りで手を差し伸べる。


彼のそーゆーとこって、ほんと、もう・・・。