「ま、確かにあたし放送下手だからね」


悲しそうに笑う立原を見ていられなくなった。


「・・・・・・そんなことは無いと思うぜ」

「え・・・?」



驚いたように、立原が顔を上げる。
丸みがちで大きな瞳。


その中に・・・俺が映る。







「俺、立原の声、好きだよ」

「・・・賢太」




その声、好きなんだよ。
俺の名前、呼ぶ声が。




やわらかくて、優しくて。
聞いているだけで笑顔になるような。




・・・その声が、好きだ。





「特に朝の放送さ」




届いているだろうか。
俺の声は、君に届いているだろうか。





「他のヤツみたいに、せかせかしてなくて、
 優しくて、落ち着いたいい声だと思ってる」







止まらなかった。
口下手なはずの俺が、こんなになるなんて。


立原はほんとに・・・すげぇ。


「ほ、ほんとにそう思う?」