「ま、確かにあたし放送下手だからね」

「……そんなことは無いと思うぜ」

「え……?」




あたしは、思わず賢太の顔を見る。

賢太は、相変わらず無愛想な表情。




あたしの方を見ようとせずに、
すぼまった口だけがぎこちなく動く。





「俺、立原の声、好きだよ」

「……賢太」

「特に朝の放送、さ」



照れたように賢太がはにかむ。


でも、嘘じゃないんだな、って分かる。
お世辞じゃないんだな、って分かる。







「他のヤツみたいに、せかせかしてなくて、
 優しくて、落ち着いたいい声だと思ってる」