「やっば、どーしよ・・・」


前の席から悲鳴が上がった。


「どしたん、花?」


あたし、三峰 夏帆は、首をかしげる。


「数学の教科書忘れた・・・」


前の席に座る田川 花が、振り返った。
その顔は半泣きで歪んでいる。


「あっちゃー・・・」

「やばいやばい、どぉしよぉ・・・っ!」



高1の2学期にもなって、半泣きになる。
それも、教科書を忘れたくらいで。


普通に考えたら変な話だ。


でも、花がこんなにも慌てているのには、
ちゃーんと理由がある。










・・・数学の先生、怖いんだ。