(本当にここは日本?)
甘い香り、早口な異国の言葉の雑踏。

チャイナタウンなら砦(とりで)の生まれた街にもある。
でも、ここは目隠しで連れて来られたなら、異国だと信じてしまうだろう。

見るもの全てが目新しく見渡す。
違う場所から来た事が分るのか?
やたらに声をかけられる。

しかし、砦には行かなければならない場所があるのだ。

(虎女)と呼ばれた祖母の元へ…

指定された待ち合わせ場所は、こっちで良いのだろうか?

結局、鼎野 砦(かなえの とりで)は道に迷ってしまった。
目印にはならない同じ龍の姿を模した旗や像とすれ違う。

(一番大きい朱塗りの門)と言うベタな待ち合わせ場所にさえたどり着けない…。

方向音痴歴は、割に長い砦ではあるが。
雑踏・香り・異国の言葉、この三つが手
伝って不安度は高くなる。

砦の迷った時の対処方法は、雪山遭難の時と似ていて(その場から動かない)である。
砦自身、認めたくはないが本格的に迷った様だ。