ある日あまりに毎日浮き沈みの激しい琴美をみて先輩が琴美にこう言った。

そんな店何もいわずにやめればいい。

そう言われて、琴美は迷っていた。
自分から逃げること…それが一番苦手なこと。飛べば誰かに迷惑がかかる…だから安易にそんなことできない。

一週間以上考え込んでいた。
やっぱり、やめてしまおう。こんなに傷つけられて平常心は保てない。
その日から琴美は別の店で働きだした。
すると、今度は180度ちがうのだ。友達もできて、お客も皆やさしかった。
だけど、時々苦手な人に何か言われる度に深く傷つく日もあった。

私は絶対他人にはこんなことは言わない人間になろう。そう思いながら耐えていた。
自宅に帰ればひとりぼっちの夜がまた訪れる。毎晩毎晩、どうしてだろう。捨てたはずなのに寂しさか募る。そんな時琴美に彼氏ができる。

家に誰か味方がいてくれるならそれでいい。
そんな事を思っていた。