ことあるごとに孤立する。
学校でも周りにずっとなじめずにいたから、いつも一人きりで行動していた。
琴美は先生にひとりぼっちが辛いと二者面談で一度だけ相談したこともあった。
それをきいた担任はこう琴美にいった。

担任「俺は別に一人でもいいとおもう。」

信じられない言葉を言われたのだ。
担任は別にそれが仕事だから、割りきっている。だが、それは小さな琴美には理解ができずにいた。
大人の都合で自由を奪われる。
そんな周りが、大人が、嫌いになる。
琴美は行き場のない感情を知らず知らずに他人に向けていた。

自分の母が自分へむけることの真似をしていた。
それは自分で気付きもしないけれど、確かに琴美を孤独へと深く追いやって苦しめていった。

しかし、琴美は他人には負けたくないから、負ければ自分を諦めてしまう気がして、したくもない勉強をただその辛い時間を埋めるだけにやる毎日だった。

教室では昼休みにはクラスの皆が遊んでいた。
琴美は一人、友人がいないから教科書だけを見つめてじっと時間がたつのを、しのいでいた。

一体どこへいけば、誰が理解してくれるのだろう。
いっそこのまま遠く誰も知らない場所へ逃げたい。その感情だけがいつしか琴美を支配していた。