また僕は人形に戻ってしまった。
そんな気がした。

結婚をして巨万の富も手にいれた。
自分が作ったはずの借金も全額返済してもらえて何一つ不満もなければ他人から見れば、羨ましがられるだろう。もてはやされるんだろう。
だけど、それすら潤平には理解できているのかさえ、自分のことなのにわからない。

僕は何がほしいのか、気づいているのに気づかないフリをする。
きっとそれが僕という人形の生き方…なんだと潤平は薄々気がつきはじめる。