潤平はあい子の気をひきたくてたまらなくなった。

あい子に嫌われたくない。

そればかりを考えていた。
とてもじゃないけど、これまでの僕のことを語ればあい子は離れていく。そんな風に潤平は思っていた。

ある日あい子が僕に質問をなげかけてきた。

あい子「ねえ、中沢さんって退院したらお仕事どうするんですか？」

そんな質問に潤平は、
「父の会社を継ぐよ。僕の実家は地元でも評判のいい大金持ちだから。」

そんな風にひとつ嘘をついた。

あい子「そうなんだぁ？すごいね！」

そんな風にあい子は信じていたから、潤平はあい子に嫌われたくない一心で度重なる嘘をついていた。自分を取り繕う、その場限りの嘘をつくようになっていた。