僕の他に血のつながっていない姉が一人、弟が一人いる。広い茶色で統一された、静かな空気の流れるリビングでたわいもない会話がされていた。そんな中、異様な空気を感じていたのはきっと家族の中で、僕だけだったかもしれない。
僕は家族のなかで一人だけいつも浮いていた。
みんなが旅行にいくときも僕だけいきたくないとごねたことがある。

父「今度の連休は家族みんなで遊園地に行こう。」

弟「まぢ!ジェットコースターのりたい!」

姉「あんたは身長がたりないわよ」

弟「うるせーな!」

と、いつものように姉と弟の喧嘩は始まる。
それをいつものように母が止めにはいる。
そして、きまって父が僕に話しかける。

父「潤平、お前はいつも本ばかり読んでるな。いきたくないのか?」

僕「うん」

僕はいつも変わった答えをだし、賛同することもない。それを両親は少し心配していた。

普通の小学生なら喜ぶようなことが僕は嫌いだった。かといって僕は決してわがままな子ではなかったはずだ。
姉や弟が部屋でだらけているときも僕は率先して、家事をする母をてつだったりしていた。

僕「お皿、洗うよ。」

母「あら、潤ちゃん偉いのね!ちょっとあんたたちも見習いなさいよ」

テレビの前で床に散らかしたオモチャを放置したまま、デカイテレビの前で姉と弟はゲームをしていた。
そんな二人を叱っては、僕は母にはよく誉められていた。あたりまえだが、当然成績も悪くはなかった。中学生の時も、常に10番以内にはいるほど優秀だった。
頭がよすぎて、教師や同級生の親にも一目置かれる存在であった。
そんな僕は、父にこうよく言われていた。
「お前は将来うちの会社を任せても心配がないだろうから、お前に任せたい。会社をつげ。」そう言われていた。