その日コウタの豪邸に琴美はいた。
コウタは子供のように喜んだ。
ヤクザの親分が子供みたいに喜んだり、素直でいられたのは琴美だからだったかもしれない。

だけど、琴美の頭の中は潤平のことでぐるぐる回っていた。

私はあそこにすんだけれど、潤平さんは結婚する気なんだろうか…

大好きだし、お金だって不自由しない社長さんだし。
でも私の意志は言えないの。
ううん…わからない…


だからあそこに無理矢理押し込まれたみたいな感じだし…

お金がほしいとかそんなものじゃなくて、見えない形のないものが欲しい…


そんなことを考えているとコウタが黙って、琴美にこう言った。

コウタ「琴美、俺がじぃちゃんになったらな、おばあちゃんとおじいちゃん昔大恋愛してね。とかそんな話をするのがいいよな。歳とってそーゆう話をして…」

そんな事を口走っていた。
琴美は目をそらしていた。