そうして強引に両者に挟まれた琴美は、潤平に強引に住まわされたマンションの一室で眠れない夜を過ごす。

時計の音が静かで孤独なリビングに響く。

チッチッ…チッ…

私は自由を手にできないのか…

欲しいものはお金じゃない…

一体何を選べばよいのだろう…

痛みがわかりすぎる琴美は自分の選択さえままならないでいた。
ただ、他人にはわからない酷く辛い孤独におしつぶされる。

居場所がない…。
それだけだった。


そんな時、コウタから着信がある。

ピロロロ…

もしもし…

…はい。わかりました。

きっと今日も潤平は帰ってはこない。
私はどこへ行ったってきっと何もない…
そんな風に考えながらコウタの呼ぶ場所へ琴美はむかっていた。