琴美はずっと迷っていた。
ひとりぼっちで暗闇を歩いていたから、これからの事を考えると酷く苦しんでいたのかな。

優しい琴美に僕はいつも部屋に閉じこもって、意味もないのに毎日毎日2時間くらい長電話をくりかえしてた。
僕は琴美が不安なことをいい始めれば、一度たりとも最後まできいたことなんてなかった。
ただ、いつも話すのは僕が認められない現実の苦しみを彼女に無理矢理きかせていた。

琴美「聞いてほしい」
彼女がなきじゃくる。
それを潤平はいつもこうしていた。

僕「琴美、琴美、泣くなって。いーからさ、聞いて琴美。」

そう言って得意気になって大人ぶって、なだめもできないくせにひたすら聞かせていただけだった。
そうすることで不完全な自分が満たされる。
そう潤平は感じていた。