「さて、ここに長居し過ぎたし、おいとまするか」
ベランダの手すりに足を掛けた。
「……って、ちょっとどっから降りようと!!?」
「ここから。というか、俺ここから来たんで」
「そうじゃなくて!ここ二階だし!!」
「安心しろ」
トンッと音を立ててベランダの手すりに立った。
バランス感覚良っ!!
「あ、そうだお前名前はなんだ?」
その余裕は何?
「……数田ななです」
毒気を抜かれ、その拍子で名前を言ってしまった。
「わかった。覚えておく。じゃあな、"なな"またどこかで会おうなっ!!」
ジャンプして体を後ろに反らして飛び降りた。
慌ててベランダ手すりから身を乗り出して下を見た。
だが、すでに怪盗の姿はなかった。


