「……用はそれだけ?」


「えっ?」


溝口はキョトンとしている。


それにしても、


……本当に大丈夫か?


ななが心配になった。


「何もなければ、手、離して」


――バッ


「あっ……!」


なかなか離してもらえなかったから振り払った。


「で、では、星空刃さんの電話番号とアドレスをお教えくださいませんか?」


「悪い。 ケータイ持ってない」


本当はウソだ。


だからといって、持ってたとしても教える気はさらさら無い。


「そうですか。 ……では私はそろそろおいとま致しますね」


俺にペコッと礼をして、来た道を戻って行った。


~♪♪~♪.


「刃、ある意味流石ね」


この着信音は俺のバックに入れていたケータイ。


誰かとはディスプレイを見なくても分かる。


「まぁな」


その着信相手、留宇と側にいるななに向けて言った。