それからというもの溝口嬢は喋る喋る。


"黙る"って言う言葉がわからないのかってほどだ。


内容は溝口自身の自慢話だったから完全スルーは当たり前。


「溝口嬢、この角を曲がれば着くか……」


「? どうしましたの」


「……」


角を曲がるとそこには留宇さんと刃が話をしていて……


「「……」」


目があった。


「あ、お帰り」


「…………ただいま」


ジャ、ジャストタイミング?


いや、バッドタイミングだよっ!!


「ななちゃん、隣の子はお友達?」


「あ、同じクラスのみ……」


「溝口美空ですわっ!!」


「!!!?」


あたしの言葉を遮った後、隣からいなくなっていた。


速ッ!!


「はじめまして、刃さん」


「……」


いつの間にか、刃の近くにいて手を握り締めている。


あれー、溝口嬢ってあんな足速かったっけ?


体育で50メートル走では溝口嬢だけ11秒台だったのに?


もう、訳が分からない。


「な、ななちゃんっ!」


留宇さんが慌てた様子で走って来た。