「全く、溝口さんには困ったもんだ!」


利子ちゃんはわざとらしく溜め息をついた。


「確かに、溝口さんは黙っていればカワイイのに……」


「「あの、性格がねー」」


「……うん」


正直二人がハモるほど、溝口嬢の性格がアレなのだ。


「数田さん」


利子ちゃん、ちーちゃんの声ではない第三者が――


「……」


「ふふふ、待たせてすみませんわ。 では、利子さん知子さんお先に失礼させてもらいますわね」


「待っていないです」とは言えずに席を立つ。


「……じゃあね」


「「…………頑張ってね」」


重い足取りのあたしに対して溝口嬢は軽快した足取りで教室を後にした。