溝口嬢とはめったに話さないから良かったのだが、実際隣になって見ると……
「数田さん、聞いてらっしゃるの?」
「…………聞いておりますよー」
うるさいのだ。
今は授業中、あたしはニガテな数学だからこそちゃんと集中したいのに、次から次へと「数田さん、数田さん」と、訪ねてくるのだ。
「数田さん」
「何でございましょう!」
いい加減にイラッと、したので強く返した。
「ふふふ、そんなにお怒りにならないで?」
誰のせいだぁっ!?
「質問いいかしら?」
「へ?」
さっきまでは自慢話だったから、少し身構えていた所があった。
まさか、質問をするなんて言うからちょっと抜けてしまった。
「えーっと、授業終わってからじゃダメ?」
「……わかりました。 では、休み時間に」
そう言って、頭を黒板の方に向けた。
「数田ー、次の問4答えて!」
「え゙っ!?」
その問題は答えることができず、怒られてしまった。


