「刃クン、後これねー」


奏さんから数枚くらいの資料を受け取った。


「刃、それは?」


「次に行くとこ」


今回、屋敷ではなくある宝石店・[溝口ジュエリー]


資料の内容によると、世にも珍しいダイヤモンドを鑑賞用として置いてあるらしい。


……当たりだな


「でも、すごいよね」


「何がだ?」


「怪盗ソウド、クラスでも話題になってるよ」


留宇の話によれば、怪盗ソウドが盗んだダイヤは次の日には戻ってくるか、そうでないか、


「だから、次の日には戻ってこなければ『ソウド"様"に選ばれたダイヤだー』って」


「グッッ」


ゴホッゴホッ、とむせてしまった。


「……ソウド"様"?」


「うん。 イケメン怪盗だーって。 ファンクラブがあるらしいよ」


「……」


知らなかった。


「はははっ、刃クン人気だねー」


「奏さん、笑うところではないです」


「いやいや、僕も常連客からもよく聞いてるから」


笑顔で話す奏さん。