まぁ、アキラはスルーされたことは明日になれば忘れるだろう。


アキラはいじられやすい上に能天気なのだ。


「……ここか」


そうこう考えているうちに桜坂女学院についた。


俺は桜の模様がほどこされた門の前で留宇が来るのを待つ。


「あ…あの~…」


「?」


声のした方を見ると二人の女生徒が立っていた。


その二人は「キャー」っていう嬉々の混ざった悲鳴をあげた。


なんなんだ?


「あ、あの誰かを待っているんですか?」


「そうだけど」


「……そうですか~」


……何か残念そうだ。


すると、


「あの、アドレス教えてください!」


一人の女生徒が聞いてきた。


「……は?」


何で初対面の人に教えなきゃいけねぇんだ?


だが、その疑問がすぐに打ち消された。

「わ、あの人かっこいい!」


「ホントだ~」


「すみませ~ん」


と、一人二人、気が付けば数えられないほどになっていた。


「……」


なんなんだ、この甘ったるい声は。


〔今、学校の前にいる。 どうにかしてくれ〕


すぐにメールを送る。


「誰に送ったんですか?」


「もしかしたら、彼女ですか?」


「私よりかわいいですか?」


と、次々とくる質問の嵐。


……留宇 速く来てくれっ!