「……悪い」


手をすぐに離したが時すでに遅し。


「……気にしなくていいよ。 撫でられるなんて……もう、慣れている…から…………………グスッ」


健は泣いてしまった。


「……」


「健、刃は悪気があって撫でたワケではないから……ね?」


二葉は健をあやしながら言った。


「……うん、わかってる。 刃はアキラより優しいから許す」



「そうか? ゴメンな」


「うん」


健は泣き止んでいた。


「……なぁ、俺は?」


「「「…………あ」」」


アキラのことをすっかり忘れていた。


「何で三人とも俺のこと"忘れてた"みたいな表情してんのっ!?」


「……じゃあな」


「うん、バイバイ」


「またあしたー」


「スルーしないでっ!!!」


アキラの嘆きに近い叫び声が聞こえたが、俺はあえて無視して教室を出た。