満月と怪盗と宝石と


「……行ったか?」


そう言い、その人は立ち上がろうとしたが……


「あの、抱きしめられたままですけど……」


「あ、悪い」


そう言い、あたしを抱きしめていた腕から解放し立ち上がった。


「ありがとな。かくまらせてくれて」


「いえいえ、気にしないで下さい」


あれ…これ普通に会話してない?


ふと疑問に思う。


「あ、あのっ!」


「ん?」


「あなたって、もしかして……」


その質問の意味を理解したのかその人はニヤッと笑い……


「怪盗ソウドだ」


と言ったのだ。


怪盗ソウド…一年前に突然現れた怪盗だ。


満月の夜にあるものを盗んでいく。


警察がどんなに力をいれても捕まらないという事で有名だ。