「周りからどう見られても、私と刃は"幼なじみ"なの。 それ以上の関係はないわ」
真剣な表情だ。
「……」
あたしは何も言えなくなった。
「それに、俺と留宇は生まれた時から一緒にいたからな家族同然だ」
……家族
心に響くなー……
「……すいません。 あたし勘違いしてました」
あたしは留宇さんに謝った。
「いいのよ。 ななちゃんが納得してくれて良かったわ」
そう言う留宇さんは微笑んでいた。
「つーか、ななは何で泣きそうになってんだ?」
「!? そ、それは……」
……言えない。
なぜだか、胸が痛んだり泣きそうになった理由があたし自身よくわからないんだ。
「……目にゴミが入ったからじゃないかしら?」
「そうなのか?」
「……え」
留宇さんを見ると、"任せて"って事なのかあたしに向けて小さくウインクをしていた。
「う、うん…そうかもしれない」
俯いて目を押さえるフリをした。
「そうか。 じゃあ留宇悪いけど俺もう行くな」
グイッとあたしを引き寄せた。
……近っ!!
「じ、刃! 大丈夫だから一人で歩ける!」
あたしの顔は真っ赤になっている。
「何言ってる、一人で歩いて、木にぶつかったらどうする」
その事を心配してんの?
「……」
何も言えなくなり、刃に肩を抱かれたまま家へ向かった。
ふと、留宇さんが気になった。
刃に気づかれないよう後ろを振り向く。
留宇さんは手を振りながらあたしに向けて『がんばれ』と口パクで言っていた。
がんばれ……?
その意味は後ほど知ることとなる。


