――ドンッ
「わっ」
「!」
通路の角を曲がった時、一人の男性とぶつかってしまった。
――バサバサッ
それと同時に男性が運んでいた資料を落としてしまう。
「あ、すいません!」
「……いえ」
その男性は資料を拾おうとしゃがみこんだ。
「手伝います」
「……」
何も言わなくなった。
……研究員ってこういう格好なんだ
資料を拾い集めながらふとそう思った。
その男性は髪がボサボサでぶ厚いメガネをかけていて、Tシャツの上に白衣を着ている。
「あの、何か……?」
「あ! いえっ!」
慌てて、視線を下に向ける。
「……それよりあなたにお願いがあるんですが」
「はい?」
視線をその男性に向けると目の前には小さなスプレーみたいなものが……
その男性が笑い、吹きかけられた。
――シュッ
「寝ててもらいますか?」
「! ま、さかっ…お前は……」
気づいた時はすでに遅く、俺は意識を手放してしまった……


